SUS304 0.8tのロール加工に挑む!

今回の加工対象のパンチングメタルの仕様は以下の通りです。

材質:SUS304 耐食性に優れた代表的なステンレス鋼。
板厚:0.8t 薄板であり、ロール加工しやすい厚さです。
穴径:φ4 穴の直径が4mm
ピッチ:7P 穴の中心から次の穴の中心までの距離が7mm(千鳥配列など)

当社では、パンチングメタルを用途に合わせてロール加工(曲げ加工)しています。
ロール加工とは、金属板をローラーで少しずつ圧をかけながら湾曲させ、筒状やアーチ状の形状に整えていく加工方法です。単純に曲げるのではなく、パンチングメタルの「穴」の並びや板厚、材質、開口率などを考慮しながら、歪みを防いで仕上げる必要があります。

細長い金属製の筒。表面全体に小さな丸い穴が等間隔に開けられており、パンチングメタルが円筒状にロール加工されている様子がわかる。材質はSUS304ステンレス。

パンチングメタルは、平らな状態でも独特の美しさがありますが、ロール加工を施すことで新たな表情が生まれます。立体的な陰影や光の抜け方が変化し、構造材としてだけでなくデザイン材としての可能性も広がります。実際、円筒状のカバーや装飾パネル、通気性を保ちながら強度を確保するフィルターなど、幅広い分野で使われています。

ロール加工で難しいのは、均一なカーブを保つことです。
穴のある板は、一般の鋼板よりも剛性が低いため、ローラーの送り速度や圧力を細かく調整しなければなりません。少しでも強く押しすぎると、穴の縁が変形したり、板が波打つように歪んでしまいます。経験豊富な職人が、指先の感覚と音の変化を頼りに微調整を繰り返し、狙った曲率に仕上げていきます。

円筒状に巻かれたステンレス製パンチングメタルの筒の断面。穴のパターンや、溶接または突き合わせによる合わせ目が見える。
ステンレス製の有孔パイプ(パンチングメタルをロール加工したもの)の接合部をクローズアップ。板の突き合わせラインが明確に見え、そのライン上には穴がない余白が設けられている。

ロール加工で仕上がったパンチングメタルは、見た目の滑らかさだけでなく、構造としての強さも備えています。
建築部材やカバー、デザインパネルなど、用途に応じてさまざまな形へと姿を変え、現場で活躍しています。
目立たない部分にこそ、職人の技が光る。そんな「裏方の美しさ」をこれからも大切にしていきます。
一見シンプルに見える素材が、手を加えることで美しく機能的な形へと変わっていく──そこにものづくりの面白さがあります。

これからも斉藤では、用途やデザインに合わせて、パンチングメタルの新しい可能性を追求していきます。
ご相談も承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。